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斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

出版オファーを破談させておきながら、電子書籍の出版を考えている

過去に2度、出版社からオファーをいただいた。私も仕事柄、一度はビジネス書を出版しておきたい立場ではあるが、結果的に2度のオファーを破談させている。

破談させた一因は、私が出版社へした提案にある。その提案とは、自社のサイトやブログの二次利用の許可だ。だが、出版社はネットにあるコンテンツの二次利用を良しとしない。当然と言えば当然である。書籍に書かれている内容がネットでも読めれば、書籍の価値は下がってしまう。もしかしたら、クレームになるかも知れない。それを理解しているにも関わらず、私はなぜこのような提案をしたのか。それは私自身の算段があってのことだ。

電子書籍について書く前に、出版について少し語りたい。

 

 

出版コストに対して得られる対価

一冊の書籍を書きあげるのに最低限必要な文字数がある。
四六判サイズは16万字~、新書サイズは12万文字~、だ。最近は、スカスカのビジネス書も多いので、四六判サイズで10万字書ければ、まぁ本にはなるだろう。

もし、定価1400円の書籍(16万字)を書いたとして、1万部売れたとしよう(1万という数は、ビジネス書では成功ライン)。印税が7%だとした場合、1400×0.07×10,000=980,000円となる。
これはあくまでも成功した例であり、これ以下の場合も十分ありうる。

正直、16万字書いて98万円では、割に合わない。もちろん、書籍を出版することによってブランディング効果があり、副次的な利益が発生するのも分かっている。だが、それはある程度売れた場合の話だ。

私は、3つのサイトを運営しているが、そのサイトにある文字数を全部合わせても16万字に届かない。おそらく12万文字程度だろう。
この12万文字のお陰で、私はコンサルとして生計を立てられるだけの集客ができている。今でも時々サイトやブログの記事を更新しているが、そのたびアクセス数は増加する。アクセス数の増加は、収益増に寄与する。

1年間で出版されるビジネス書の数は約8000点。1日22冊出版される計算だ。この中で増刷がかかるのは、3割程度。残りは、初版の3000部ほど刷られただけで、書店から姿を消す。それだけ、1万部の販売は難易度が高い。


何が言いたいかと言うと、
16万字も書いて成功するかどうか未知数の書籍と、16万字も書けば確実に収益アップが見込めるサイトでは、私は後者を選ぶ、という訳だ。


小心者に聞こえるかもしれない。
だが、一人で仕事をしている以上、多大な時間とエネルギーを無駄に終わらせる訳にはいかないのだ。

もし私が書籍のためだけにコンテンツを書くのであれば、初版の3000部をほぼ確実に自分のリストに売れる状態にしているか、時流に乗ったコンテンツが書ける場合のみだろう。そうでなければ、出版はただの博打以外の何物でもない。ましてや、自費出版なんてもってのほかだ。

 

 

出版の理想は、WEBコンテンツ⇒書籍

書籍のために書き下ろした原稿は、当然、ネットでは使えない。つまり、16万字の労力を出版に投資することを意味している。
もしこれで売れなかったらどうする。コンテンツはネット上で使えないうえ、少額の印税しか手に入らない。鳴かず飛ばずの結果で終われば、私は生涯経験したことのない脱力感に襲われるだろう。
そこで、一番リスクがない出版の形が、WEBコンテンツ(自社サイトやブログ)を利用した書籍の出版なのだ。

ただ、冒頭で話しした通り、出版社は難色を示す。私もただコピペした原稿を使う気はない。当然、ある程度の加筆や編集などはする。だが、それでもいい顔はしない。そんな経緯があり、2社とも話は流れた。

もしかしたら、チャンスを逃したかもしれない。書き下ろしをすれば、輝ける未来が待っていたかもしれない。今となっては分からない。だが私は、希望の薄い「かもしれない」にすがる性ではないし、今でも自分の判断は正しかったと思っている。

 

 

電子書籍ならWEBコンテンツが使える

ここで本題の電子書籍の話である。
電子書籍はWEBコンテンツを電子書籍に利用することが可能だ。これを使わない手はないだろう。

紙の書籍と比べればブランディング効果は小さいが、集客という面ではある程度の効果を発揮するだろう。電子書籍にはリンクを貼付でき、直接サイトへ誘導することも可能だ。紙の書籍以上にサイトへの誘導率が高いのは、想像に難くないだろう。そして何より、コストやリスクが小さい。文字数も書籍を出すのと比べれば、10分の1以下で済む。

あくまでも目安だが、電子書籍の価格が、~100円であれば12,000~15,000字、~250円であれば、35,000~50,000字あれば「情報量が少ない」という不満の声は出てこないだろう。

 

 

電子書籍の価格は、99円か250円が良い

電子書籍が本領発揮できる価格帯は99円と250円だ。
その理由は3つある。

 

1. 長時間、電子書籍は読めない

電子書籍を何で読んでいるだろうか。
キンドルを利用している人はまだ少数だろう。おそらく、iPhoneやiPadで読んでいる人が多数ではないだろうか。
私はiPhoneで電子書籍を読んでいるが、長文を読むのは、正直しんどい。目が疲れる。そのため、私はもっぱら10分ほどで完読できる100円の電子書籍を購入する。iPhoneで読むという使用環境上、短文の電子書籍のほうが都合は良い。
電子書籍は、紙書籍と比べて長時間の読書には向かない。そのため、短文のほうが好まれる傾向にある。

 

2. 要点だけが書かれている

こんなことを言うと怒られそうだが、最近のビジネス書の中には「これ、20ページで済む話を200ページに希釈しているでしょ」というのをよく目にする。要は、ハズレ本である。

Amazonでは立ち読みできない分、一定数ハズレを引いてしまう。さすがに千円台のハズレは痛い。しかし、電子書籍でハズレを引いたとしても、たかだが100円250円の話である。1500円損したときのことを思えば、5分の1以下の損金で済む。スカスカのビジネス書に飽き飽きしていた私からすると、要点のみ書かれている電子書籍は非常に便利が良いのだ。きっと私のように、すぐに読み終えられる電子書籍を求めている人は多いのではないだろうか。

余談だが、電子書籍は速読や飛ばし読みができない(しづらい)。それもあり、ダラダラ長い電子書籍を読むよりは、短文でまとめてもらっているほうがやはりありがたいのだ。

 

3. 紙書籍がガード不能な価格帯

紙書籍の電子版が発売されるのは今では珍しくない。
もし、欲しい書籍が紙と電子版の両方で販売されていたら、私は紙書籍を購入する。先ほど話したように長文をiPhoneで読むのが辛いのもあるが、何より価格の差が2割程度しか違わないからだ。おそらく、紙の売れ行きを下げたくないために紙書籍と電子版の差を大きくしていないのだろう。

実はこれ、紙書籍の弱点なのである。
紙書籍の存在があるため、電子版の価格を下げることができないのだ。

紙書籍にはガード不能の急所がある。それは、価格だ。
出版社は、500円以下の紙書籍を出版できない。どうやっても採算が合わないからだ。つまり、紙書籍の価格に引っ張られる紙の電子版は、特別なセールを除き、定価300円までにしかならない。ここが電子書籍のつけいる隙である。

紙書籍の電子版はどんなに安くても定価300円が限界だ。もし、あなたが電子書籍(紙書籍なし)を作るのであれば、250円以下の値にするべきだ。間違っても500円以上の値をつけてはならない。500円以上の価格帯に行くと、紙書籍の電子版と比べられ、競争することになる。しかし、250円以下になれば、紙書籍の電子版と競合することはない。そしてここに下ってくることも今のところない。

電子書籍を10冊以上出版している知人曰く、「99円を複数出版してセットを250円にすると今のところ最も効率が良い」と教えてくれた。

おそらく、今まで話してきた

1. iPhone、iPadなどで読む使用環境
2. 低価格、短時間で読みたいニーズ
3. 紙の電子版と競合しないポジション

以上の3点がマッチングしているからだろう。

 

 

電子書籍で印税を期待しない

電子書籍を出版しても大した印税にはならない。その理由は流通にある。

書籍であれば、全国の書店に置かれるが、電子書籍は流通が限られている。無名著者の電子書籍であれば、売れても250円で1,000~2,000部がいいところだろう。

仮に250円の書籍が1,000部売れて、印税率を70%だとしよう。
その場合の印税は、250円×0.7×1,000部=175,000円である。制作時間が1週間程度であれば、良い収入かもしれない。

それよりは、本業のサイトやブログに誘導する手段や認知度向上の手段として活用したほうが収益に直結する。そう考えれば、無料で提供するというのも手である。有料にするか無料にするかは、戦略や考え方次第だが、印税をあまり期待しないほうがいいのは確かである。

あくまでも、WEBコンテンツの二次利用として、WEBでは捉まえられなかった見込み客を集客する手段として考えておこう。そもそも、紙の書籍と比べたらその労力は10分の1以下で集客や印税のチャンスがあるのだから、それだけでも十分である。

 

 

まとめ

以上の理由から、出版オファーをされたにも関わらず、2度流れてしまった。私もそろそろ電子書籍を一冊出版してみようかと思っている。もし、電子書籍を出版したら購入してね。