斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

コピーライティングで最も大切な考え方

最近、コピーライターを名乗る人が増えてきた。
コピーライターと言っても、ブランディングを意識したデザインコピーを書く人たちではなく、反響率を意識したセールスコピーを書く人たちだ。まぁ、言ってみれば、私の同業者だ。

彼らはコピーライティングのテクニックなどをWEB上で公開し、露出を図っている。テクニックやノウハウが無料で読めるのはユーザーにとってはありがたい話だ。競合が多くなれば、コンテンツの質を競い合うようになり、よりクオリティの高いものがWEB上に転がるようになるだろう。

私にとって、競合が増えることは嬉しい話ではない。だが、競合が増えることは前々から予想していたため、特段驚きはしていない。ただ、テクニックの情報が氾濫すれば、コピーライティングの本質を見失いがちになるため、ここで一言私なりの見解を述べておきたいと思う。

 

 

コピーライティングの力に頼ってはならない

先日、facebookで一冊の書籍を紹介した。
紹介と言っても、内容に触れず、感想も述べていない。ただ一言、「フリーランスの人間は、全員読め!」と書いただけだ。その結果、9名の方が購入した。購入者数が分かるのは、Amazonへのアフィリリンクを貼っているためだ。
※書籍を紹介する際は、アフィリリンクを貼っている。それは紹介料が欲しいのではなく、何人が反応したかを確認したいからだ。
「書店で買います」というコメントをくれた人もおり、中には、アフィリリンクを踏まずに購入した人もいるだろう(アフィリから買う人を嫌う人が一定数いる)。

私のfacebook上の友達は2500人弱いる。3年前からの始めているため、おそらく、もうfacebookにログインしていない人や、ヘッジランクの関係上、私の投稿がニュースフィードに流れない人もいる。書籍を紹介した投稿を目にした人は、おそらく500人もいないと推測できる。

500人中9名。この数字が多いかはどうでもいい。着目したいのは、この数字を出すのに“コピーの力を使わなかった”という点だ。私は一言「フリーランスの人間は、全員読め!」と偉そうに命じただけである。

コピーの力に頼らずに売る。これが、コピーライティングの本質であり、ゴールでもあるのだ。

 

 

深井さんが買えというなら買うしかありませんね。

facebookで書籍を紹介した際、こんなコメントをいただいた。「深井さんが買えというなら買うしかありませんね。早速、買っときました」。
この一文の真意は何だろう。私が思うに「深井さんの紹介する本なら“信用”して買います」だと思う。先ほど述べたように、私はコピーの力を使ってはいない。コピーの力ではなく、「信用」の力で書籍が売れたのだ。

実は、3ヶ月ほど前からfacebook上で様々な書籍の紹介している。
私が紹介する書籍は、私が本当に良書と思ったものだけだ。そのため、書籍を購入した人からは「いい本を紹介してもらい、ありがとうございました」とお礼のコメントを何度もいただいた。こうした積み重ねが「深井さんが紹介する本なら……」と思わせるようになったのだろう。小さな事例だが、ビジネスの本質が垣間見えているのがお分かりだろうか。

 

 

コピーの力に頼り過ぎるな

私はある出版社の書籍を二度と買わないと決めている。
その出版社は、海外のマーケティング本を翻訳してネットを中心に販売しており、書籍の価格は通常の2倍以上もする。この出版社はコピーライティングが秀品だ。読む者の購買意欲を誘い、財布の紐を緩めさせる。しかし私は、届いた書籍を読んでは、幾度も肩を落としてきた。それがきっかけとなり、ここの出版社の書籍は二度と購入しないと誓ったのだ(あくまでも私の所感である。私と同じように思わない人は当然いるだろう)

コピーライティングは、商品の価値を伝える技だ。しかし、一歩間違えれば過剰な期待を抱かせてしまい、購入後の不満を与えてしまう。不満が積み重なれば、私のように購入しなくなるお客が出てくる。
この話を聞いて、コピーライティングを学んだ人の中には「不満を抱いた人のために、返金保証を設ければいい」と思う人もいるだろう。だが、その答えは間違っている。

返金保証を設けさえすれば、何を書いても許されるわけでもなければ、不満足を抱いたお客を救えるわけでもない。ましてや、信用を失わずに済むわけでもない。保証はあくまでも最終手段であり、コピーや商品に最大限に思慮して、それでも不満を与えてしまったお客のために用意するものだ。
返金保証をコピーライティングテクニックの一つだと認識しているのであれば、それは大きな間違いである。現に、先ほど言及した出版社も返金保証を設けているが、私からの信用は地に落ちている。

コピーは、扱い方を間違えれば信用を失う。それは、長期的な目で見た場合、決してプラスにはならない。

コピーの力に頼り過ぎて信用を落とした例はほかにもある。
情報商材のアフィリエイト業界がまさに典型例だ。過剰なコピーでユーザーを煽り、粗悪な商材をユーザーに販売してきた。その結果、業界全体の信用を落としてきたのだ。コピーが強力であるほど、粗雑な商品を手にしたときの落胆は大きくなる。

コピー力があれば確かに売れるようになる。だが、コピー力で信用は築けない。だが、信用さえあれば、コピー力がなくても商品は売れるようになるのだ。

 

 

コピーライティングは、あくまでもきっかけ作り 

コピーは諸刃の剣だ。過剰な期待をさせれば信用を落としてしまう。
長期的なビジネスをしたければ、いつまでもコピーの力に頼ってはいけない。コピーはあくまでもきっかけ作りだ。あなたのことをよく知らない人と付き合うための技である。
コピーの力で一度取引をしたら、後は商品力やアフターフォローなどで信用を重ねていこう。そうすれば、コピーの力に頼らずとも「あの人が勧める商品なら買う」となるはずだ。

コピーライティングは素晴らしいスキルだ。それは私も認めよう。
私はコピーの代行で収入を得ているし、私のビジネス人生を大きく変えてくれた。だからこそ言いたい。コピーライティングに依存してはならない、扱い方を間違ってはいけない、と。

コピーライティングは、あなたが提供する商品価値を伝え、あなたの想いを届けるスキルだ。あなたの商品に価値があること、あなたに熱い思いがあることが前提となっている。もし、謳っているコピーほどの価値も熱意もなければ、コピーはただの虚言へとなり下がる。そして、虚言は必ずお客に看破され、言葉は信用を失う。そうなれば、さらにコピーを強力にして商品を販売するようになるだろう。だが、それも長くは続かない。いつしかその会社は社会から姿を消すようになる。

 

 

まとめ

冒頭で話した通り、コピーライティングに関するノウハウはWEB上に今後も溢れるだろう。だが、忘れてはならない。コピーライティングは、諸刃の剣だということを。コピーの力に溺れてはならない。
コピーの力を正しく扱えて、はじめて“コピーライティング”なのだと私は思う。