斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

「売りたい商品」が「売れる商品」になるとは限らない

今日も教材が売れた。毎日のように注文が入る。
私は教材を7点販売しているが、売上の半分以上は「売れる文章設計法  教材CD」が占めている。目論見通りと言えば、目論見通りなのだが、少し複雑な心境ではある。なぜなら、一番売りたい教材は他でもない「顧客中心マーケティング 教材CD」だからだ。

先ほど、「目論見通り」と書いたのには理由がある。
実は、教材を作る前から「コピーライティングに関する教材が一番売れるだろうな」と予測を立てていたからだ。ではなぜ、一番売れる商品だと予測できたのか。
それは、人は「短時間」で欲求を満たしたいと考える生き物であると、私は知っていたからだ。たとえば、コピーライティングとマーケティングでは、どちらがすぐに売上増に貢献するのかといえば、前者である。そのため、必然的に前者は売れやすい。それと、「コピーを書くだけなら、すぐに取り組めそう」と思えるのも消費を促している。人は、「短時間」のほかに「簡単」にも惹かれる。「○○するだけで……」というキャッチコピーがあちこちで用いられるのは、反応が良いからである。こうした知識があったため、「売れる文章設計法 教材CD」が一番売れると予測でき、実際その通りとなった。

だが、私の心境は少し複雑だ。
冒頭に書いたように本当に売りたい教材、買ってほしい教材は「顧客中心マーケティング」だからである。

 

 

「売りたい商品」と「売れる商品」は必ずしも同じではない

冒頭に書いた経験は、今回が初めてではない。以前にも同じことがあった。
私は以前、美容師向けにパーマ液やヘアケア液を販売していた。一番売りたい商品は、何と言ってもパーマ液だった。なぜなら、開発に7年もの年月を費やしたからだ。
しかし、最も好評を博し、一番売れた商品は、おまけで作ったヘアケア液だった。パーマ液と比べて価格は3分の一だったため、数が出るのは理解できる。だが、パーマ液よりも好評を博したのは複雑な心境だった。

ここは事実を受け入れるしかない。
価格も安く満足度の高いヘアケア液を前面に打ち出し、フロント商品(集客商品)として活用した。その結果、3か月間で1,533件もの新規開拓に成功したのだ。
もしパーマ液を前面に打ち出していたら、集客に失敗していただろう。集客は何といってもエサ(商品やオファー)がとても重要になる。集客商品を見誤った途端、集客は失敗する。たとえ、どんなに販促手段が優秀だとしても、だ。

 

 

売りたい商品は、売れる商品の後に売る

では、パーマ液は一向に売れなかったと言えば、そうではない。
ヘアケア液を注文してくれたお客のうち27%は、パーマ液を購入してくれた。関連商品の購買率としては、比較的高い数値だ。
※ちなみに、パーマ液は市場価格の3倍以上もした。

この数値を出せた要因はいくつかある。ヘアケア液の満足度が高かったこと、フォローを仕組化したこと、パーマ液を売り込むレターの出来が良質だったことが挙げられる。フロント商品で満足させ、フォローをしっかりすれば、お客は次の商品(売りたい商品)の売り込みに耳を傾けてくれる。
これは何も商売に限った話ではない。恋愛でも同じことが言える。
何度か食事やデートを重ね、自分のことを気に入ってもらい、はじめて「ホテルに行こう」と言える。初見で「ホテルに行こう」と言えば断わられるに決まっている(下ネタ、めんご)。

まずは相手のニーズを満たす。その後しっかりとフォローをする。最後に売りたい商品を売る。これが成功するセオリーである。
売りたい商品はグッとこらえて後に回そう。結果的にそのほうがよく売れるのだから。

 

 

商品に惚れるな、自信を持て

なぜ「売りたい」と思う商品があるのか。
商品への愛着もあるだろうが、何よりも「良い商品である」という自信がそうさせているに違いない。少なからず私はそうだ。パーマ液も教材も、お客に高い価値を提供できる自信があるから“売りたい”のである。決して、利益率が高いからといった利己的な理由から売りたいわけではない。

私はお客と商品の関係は、恋人とプレゼントと同じだと考えている。
プレゼントは、恋人が喜びそうなもの選び、贈る。決して、自分がプレゼントしたいものを贈るわけではない。それをしたらエゴの押しつけになる。
商売も同じだ。お客が喜ぶ商品を選び、売る。自分が売りたい商品を売り付けるのは、エゴの押し売りである。
恋愛も商売も、「相手」の気持ちを考えれば、何を提供すればいいのかが自ずと見えてくるはずだ。

商品に自信は持って良い、だが、惚れてはいけない。惚れた時点で、エゴの押しつけをしてしまうからだ。商人が惚れるべき相手は、商品ではなくお客なのだ。そして商品は、お客を悦ばせるためのプレゼントなのである。

 

 

まとめ

先月、一通の感想文が届いた。
感想文の送り主は、「売れる文章設計法 教材CD」「顧客中心マーケティング 教材CD」の両方を購入していただいた方だ。
何が嬉しいかと言えば、私が最も売りたい「顧客中心マーケティング 教材CD」を称賛していただいたことだ。売りたい商品が売れ、その商品で喜んでいただけたなら、これほど商売冥利に尽きることはないだろう。
今後も、売れる商品でお客を喜ばせ、売りたい商品の良さを伝え、より高い価値を提供していこう。これは私だけではなく、商いをする全ての人に通じる事柄だろう。

感想文を紹介して本記事は終わりとしたいと思う。

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お世話になっております。
先日「顧客中心マーケティング 教材CD」と「売れる文章設計法 教材CD」を購入させて頂きました足立です。

顧客中心マーケティングのレジュメは一気に読ませて頂き、CDはひととおり聞かせて頂きました。CDのお話は具体的で分かりやすく、お陰様で今まで漠然と考えていた問題がすっきりと整理することができました。私はこれまで、「顧客視点」ではなく、まさに「商品視点」で仕事をしていました……。

私は新卒で入社したジュエリーメーカーで材料や商品の買い付けの仕事をしています。製造業のバイヤーであるため、ルース(宝石)や半製品などを扱い、細分化、専門家された購買業務をしております。

会社の業態は製造小売り(SPA)ですが、創業者が小さな工場から出発した職人であったため、商売の仕方は何かにつけ製造業の発想です。お客様のニーズよりも商品の製作を中心に商売が進んでいました。幸運なことに、会社はジュエリー業界では珍しい製造小売業一貫体制であったため他社よりも圧倒的な安さと品揃えで、1990年代にかけて急成長し、上場まで果たしました。
しかしその後、ジュエリーマーケットは縮小し続け、最盛期の3分の1にまでなってしまいました。当然ですが、今のマーケットでは、価格と品揃えだけでは売上を伸ばすことはできません。

「顧客中心マーケティング 教材CD」にありますように、「お客様と点ではなく線でお付き合いをすること」「会社の世界観を打ち出して行くこと」は、我々の会社にまさに欠けていた考え方で、目から鱗が落ちる気分です。サラリーマンを20年やっていますが、自分は専門バカになっていて、何も分かっていなかったことに痛感しています。

今回、深井さんの教材を購入した理由は、バイヤーとしてお客様ともっと関わる方法はないか、直接売り込める方法はないかと思い、セールスレターの勉強のためでした。そのため「売れる文章設計法 教材CD」を申し込みました。「顧客中心マーケティング 教材CD」に関しては、なんとなく面白そうな内容だと興味本位で注文したのでした(すみません!)。しかし、本当に必要であったのは、「顧客中心マーケティング 教材CD」だったかもしれません。

私は今まで沢山のビジネス書や専門書を読んできました。でも、内容は別世界の話のようで自分の仕事に応用できませんでした。深井さんは教材の中でとても明確かつ具体的に商売の仕組みと構造についてお話しされていて、非常に勉強になります。知っている内容もありますたが、私はここまでお話を整理できません。もっと深く商売の仕組みや構造を勉強したいです。セールスレターの書き方は、その後でもいいかと思うようになりました。

別の教材である「売れる仕組みの作り方 教材CD」も注文させて頂く予定です。実はもう銀行のATMで代金を振り込ませて頂きました。今までのバイヤーとしての経験を、顧客中心マーケティングを通して整理して行きたいと思います。

今後ともよろしくお願いたします。

2014年7月4日
足立信夫