斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

ポーターやドラッカーが提唱する理論は、役に立たない

マーケティング関連のコンテンツを、私はWEB上で何十と綴ってきた。
その中で、有名なマーケティング理論を用いてコンテンツを綴ったことは、ただの一度もない。
たとえば、ポーターやドラッカーなどの著名な経営学者が提唱している「3つの戦略」、「SWOT分析」、「4P」、「4C」などがそれだ。

職業柄、これらの用語を使ってマーケティングを語ってもいいはずだが、あえてそれを避けてきた。それはなぜか。正直、これらの理論は、中小企業の現場において、役に立たない場合が多いからだ。

私のコンテンツは、従業員数30名以下、とりわけ10名以下の企業経営者に焦点を当てて、発信している。この規模の企業に、MBAなどで教わるマーケティング理論を当てはめても、ほとんど役に立たない。

語弊があってはいけないので申し添えておくが、大企業レベルになればこれらの理論は活用できるだろう。それに、ポーターやドラッカーが提唱する理論の根底にある本質や思想は学びに富んでおり、共感もしている。だが、残念ながら、中小企業の現場においては、机上の空論となってしまいやすい。

この事実は、中小企業に勤めていた頃、そして、現在はコンサルの現場からも実感している現実である。高尚な理論を用いてコンサルするよりも、チラシの書き方やお客様との接し方などの泥臭い作業を指導するほうが、堅実に売り上げに結び付くのだ。


最近読んだ書籍『小さな会社こそ、高く売りなさい』(著者 竹内謙礼)にこんな一文があった。

世の中には、会社の「戦略」を語る理論が溢れかえっている。私も経営コンサルタントという立場上、多くのマーケティング理論や経営理論を勉強して、多くの会社でその戦略を実践してきた。

 しかし、その経験から私が学んだことは、これらの戦略は、小さな会社では、“まったく役に立たない”ということだ。(中略)
 このように、著名な経営学者が提唱している戦略は、私の経験上、小さな会社ではほとんど役に立たなかった。(中略)
 それなのに、小さな会社の経営者や幹部は、著名なマーケティング戦略や経営戦略をありがたく学び続けている。そして、高い研修費を支払って、自分の会社規模では役に立たない戦略を、一生懸命、社員に理解させ、実践させようとしている。

小さな会社こそ、高く売りなさい

小さな会社こそ、高く売りなさい

 

 

本書を読んだ時、正直、ほっとした。私と同じことを思っているコンサルタントがほかにもいたと。前々から、「中小企業には、著名な経営学者の理論は役に立たない」と声を大にして言いたかった。なぜなら、この事実を知るだけで、経営者に無駄な時間と出費をさせずに済むからだ。

中小企業の経営者が学ぶべき理論は、ダイレクト・レスポンス・マーケティングである。これが最も現場に近いマーケティング理論だ。経営戦略であれば、ランチェスター戦略が現実に即した戦略である。

中小企業に役立つマーケティングや経営理論を知りたければ、中小企業を対象にコンサルティングしている者から学ぶのがよい。大企業を元に構築したマーケティングや、大企業のための経営理論を学んでも役に立たない。ゾウにはゾウの、アリにはアリの戦い方があるのである。