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斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

自分と、自分の人生の変化を楽しむ

成長よりも変化を好む。私はおそらく、そういう人間だ。
「成長」は、自己研鑽や修練を惜しまず、能力や知識、人間力の向上に励む、尊い行いである。やがてそれは、人生に充実感や達成感を与えてくれるだろう。

「変化」は、それとは趣が違う。
既知や既存の能力や知識、人間力といったものを高め育てるものではなく、未知の世界に足を踏み入れ、興味を持つこと。それは人間としての幅を広げ、人生に悦びを与える。

私は以前、和文化が嫌いだった。
日本家屋も和服も畳も家具も卑下していた。引っ越しをする際、不動産屋に出した条件が「和室がない家」だったほどだ。

しかし、ある日を境にそれが一変した。
HNK番組「美の壺」を視聴したのがきっかけだ。番組では、日本庭園や和菓子などについて解説していた。私は番組を通じて、和文化の造詣の深さに感じ入り、強い衝撃を受けた。自分は何もわかっていなかったのだと。それから和文化に関心を持つようになり、今では好んで和文化を堪能するようにしている。現金なもので、食事の好みまで変わった。外食はいつも洋食にワインだったが、今では和食に日本酒が当たり前になっている。

これは私の人生において大きな「変化」だった。
もし、以前のまま和文化を嫌い、知らないままだったら、今体験している「悦」を知らずに過ごしていたことだろう。

「和文化が好き」。
数年前の私は、こう言う人のことを理解できなかっただろう。だが今は、理解できる。和文化に対して造詣が深いと言えるほどではないが、少なからず「悦」を感じるだけの変化を得たのだ。

和文化の話は、ほんの一例に過ぎない。
関心のなかったものに興味を持った経験は、誰しもあるはずだ。特段、珍しい体験ではない。日常生活の中で、気がつかないうちに人は「変化」に触れているのである。ただ、変化は成長のように「これを伸ばしたい」という明確な意思の下、促せるものではない。次に何に興味を持つかは自分でもわからないのだ。それが楽しい。
そうした「変化」が人生に、驚きに似た「悦」を与える。そして私は、そんな悦を何よりも大切にしている。変化するたび、新しい自分に出会えるからだ。

成長は、今ある自分を高める。
変化は、新しい自分に出会える。

数年後の私は、今の私とは違う人間になっている。新しい自分に生まれ変わっているからだ。これから出合うだろう未知は、私にどんな変化を与えてくれるのだろうか。今から楽しみで仕方がない。