斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

短所は直す必要はないが、欠点は直す必要がある

私が考えるに、長所と短所は表裏一体である。
たとえば、「思い立ったらすぐに行動する」という長所は、言い換えると「人の忠告を聞かない」とも言える。「納得するまで仕事をする」という長所は、言い換えると「融通が利かない」とも言える。

長所も短所も、時と場合、状況によって反転することはよくある。
たとえば、「心配性」という短所は、失敗が許されない仕事には向いているかもしれない。「几帳面」「用意周到」と褒められるだろう。このように、長所短所は人の見方や環境によっていくらでも変わる。だからこそ、表裏一体と言える。長所短所が上手く活きる場を「適材適所」と呼ぶのだろう。

教育論でよく俎上に載る話題の一つに、「短所を直すより、長所を伸ばす教育が良い」がある。しかし、前述した理屈からすると、長所と短所は表裏一体であるため、短所だけを直すことも、長所だけを伸ばすことも不可能である。では、なぜこのような議論が上がるのか。私が考えるに、おそらく、「短所」と「欠点」を履き違えているからではないだろうか。
今回話したいのは、長所短所の話ではない。この「欠点」についてだ。

 

 

欠点は克服すべき

欠点には、反転するものがない。欠点の裏は欠点だ。
たとえば、「酒癖が悪い」「放言癖がある」「すぐに手を挙げる」などは、どう転んでも長所にならない。どう転んでも長所にならない性を欠点と呼ぶ。

欠点は克服しなければならない。直さなければならない。なぜなら、たった一つの欠点が、今まで積み上げてきたものを、いとも簡単に崩してしまうからだ。

私の知る人に「すぐに嘘をつく」「謝らない」という癖を持った人がいる。これは明らかな欠点だ。それなりの社会的地位を築いたにも関わらず、欠点が露呈してしまい、それまで培ってきた信用や好感を著しく下げた。

普段人は欠点を隠しながら生きる。だが、一生隠せるものではない。どこかで必ず欠点は露わになってしまう。常にリスクを抱えながら生きるのは賢明とは言えない。危険な欠点は直すなり、克服するほうが無難である。

 

 

短所と欠点は別物

短所と欠点を混同させてはいけない。いくら長所を伸ばしても欠点は消えないし、影を潜めることもない。ここを間違えて、欠点を克服せず、長所を伸ばそうとしても意味はないのだ。欠点は欠点でしかなく、プラスに働くことは、「ほぼない」と言っていい。

自分が思っている短所は、本当に短所なのだろうか?
自身の過去を顧みて、欠点だと思い当たるものがあれば、克服することを勧奨する。