読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

Apple Watchは時計業界のシェアを奪うのか | 弱者の戦略の終焉

2015年4月24日、Apple Watchが販売となる。腕に付ける新しい端末機器に衆目が集まっている。予約も殺到しており、納期が6月以降待ちになる好調な滑り出しだ。

f:id:fukaihanashi:20150412165119j:plain


さて、このApple Watchの販売を戦々恐々としながら見守る業界がある。そう、時計業界だ。消費者は、腕時計を外して、Apple Watchを付けるのか。時計業界には気懸りでならないだろう。

私の予想では、数十万、数百万のブランド時計への影響は少ないが、Apple Watchと同じ価格帯にある腕時計は、シェアを奪われるだろう。時計業界として大きな痛手となるはずだ。

今回の事象で特筆すべきは、シェアを奪ったのが同業種ではなく、他業種という点だ。時代の趨勢をよく表している。

 

 

同業者とシェア争いするのは、時代遅れ

同業者とシェアを争うのは、もはや時代遅れである。
弱者の戦略の一つに、差別化を図り、一点集中をして№1を目指すものがあるが、今後は通用しなくなる。今はまだ有効な戦略ではあるが、この先10年、20年後も通用するかと問われれば、私はハッキリとNOと答える。

理由は二つある。
一つは、Apple Watchの事象ように、全く関係ない業種がシェアを奪うことが当たり前となるからだ。もう一つは、機械化の発展により、業界そのものが消滅する可能性があるからだ。一つずつ説明しよう。

 

 

理由1 他業種も競合になりうる

一つ目の理由について、最近読んだ『マーケット感覚を身に付けよう』(著者 ちきりん)が参考になるため紹介したい。

 

マーケット感覚を身につけよう

マーケット感覚を身につけよう

 

 

ANAと顧客の間で取引されている価値を、「最寄り空港から遠方の空港への移動価値」だと考えれば、ライバルは他の航空会社だけになってしまうけれど、そうではなく、「物理的に大きく離れた場所を高速移動する価値」だと理解できれば、新幹線や高速バスもライバルだと気がつけます。 さらに「物理的に離れた場所との、コミュニケーションを可能にする価値」「物理的に離れた場所で、なんらかの体験を得るための価値」と捉えると、テレビ会議システムやネット通販を、そのライバルとして思いつくことも可能になります。

 

引用を読んで分かる通り、同業社だけがライバルだと捉えるのは、視野が狭い。
ANAの事例のように、新幹線や高速バス、テレビ会議システムなどの他業種もライバルに成りえるのだ。これからは、広義にライバルを捉えなければ、新しい発想も出てこない。何より、市場を他業種に奪われてしまう。それも知らぬ間に、だ。もはや、同業者でシェア争いしていること自体がナンセンスなのである。

 

 

理由2 機械も競合になりうる

二つ目の理由について述べよう。
今後20年以内、多くの仕事は機械に奪われる。そのことを記述した、オックスフォード大学 マイケル・A・オズボーン准教授の論文を紹介しよう。

コンピューターの技術革新がすさまじい勢いで進む中で、これまで人間にしかできないと思われていた仕事がロボットなどの機械に代わられようとしています。たとえば、『Google Car』に代表されるような無人で走る自動運転車は、これから世界中に行き渡ります。そうなれば、タクシーやトラックの運転手は仕事を失うのです。

これはほんの一例で、機械によって代わられる人間の仕事は非常に多岐にわたります。私は、米国労働省のデータに基づいて、702の職種が今後どれだけコンピューター技術によって自動化されるかを分析しました。その結果、今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いという結論に至ったのです。

 

インターネット、人工知能、3Dプリンターの出現は、市場に大きな革命をもたらした。革命とは、今まで通用していたルールが通用しなくなることを意味している。業界内で№1になれば生き残れるといった弱者の戦略も例外ではない。
先に述べたように、業界の垣根を超えて市場争いをするばかりか、機械までもが市場を奪う強敵となるのだ。同業者と争っている姿は、井の中の蛙と同じである。

 

 

まとめ

Apple Watchは、時代を映す分かりやすい参考事例だ。
この事象を見ていると、同業者とのシェア争い馬鹿馬鹿しく思えてくる。マーケット感覚を身に付け、新しい市場、新しい価値を模索しなければ、これからの時代、企業は生き残れないだろう。

 

 

参考

マーケット感覚を身につけよう

マーケット感覚を身につけよう

 

 

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

 

 

 

fukaihanashi.hatenablog.com