斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

「アイディアに価値はない」は、本当か?

時々耳にする「アイディアに価値はない」論。この論を唱える人が二言目に言う台詞は決まっている。「行動にこそ価値がある」だ。

この論争を見るたび、私は何とも言えないモヤモヤ感を抱く。なぜなら、アイディアと行動を対立させている時点でズレているからである。

アイディアと行動はセットである。「価値=アイディア×行動」なのだ。
アイディアが粗末であれば、いくら行動しても実りは小さい。アイディアがいくら秀逸でも、行動が伴わなければ実りはない。どちらが優れているかではなく、どちらも優れていたほうがいいに決まっている。セットであるべきものを、なぜわざわざ優劣を決めようとするのか。「フォークとナイフはどちらが優れているか」と論じるぐらい愚かである。

 

 

アイディアは実りの種、実らせるのは行動

事業の実りは、種(アイディア)から生まれる。アイディアが優れており、行動も伴っていれば、事業の実りは大きくなる。しかし、いずれかが欠けていれば不収穫に終わり、最悪の場合、大変な損害を被ることもある。

以前、知人からある著名人(以下A氏)の事業計画を聞いてあげてほしいと依頼されたことがある。私は東京へと出向き、A氏の話を伺うと、まぁ、素人でも確実に頓挫するとわかるビジネスアイディアを聞かされた。A氏は、夢を語る力と行動力は並外れており、業界では名の知られたプレイヤーだ。だが、事業家ではない。そのA氏が全くの畑違いの分野、かつ数億円の費用が発生する事業を起こそうと言うのだ。知人が私を呼んだ意図が理解できた。要は私にA氏を止めてほしいのだ。

色々とあったが、結果的にはその事業は実行せずに済んだ。もし、実行していたならば、A氏は大変な損害を被っていただろう。
※風の噂では、その後A氏はほかの事業に手を出して失敗し、今は失踪しているそうだ。

いくら行動力が並外れていたとしても、事業の種となるアイディアがしっかりしていなければ事業は成功しない。半端なアイディアにも関わらず、行動してしまったため事業が失敗した例は掃いて捨てるほどある。同様に、行動が伴わなかったために日の目を見ることができなかった優れたアイディアも数多くあるだろう。

 

 

発明家と事業家がタッグを組むように

世の中には、アイディアを考えるのが得意な人と、行動力が飛び抜けている人がいる(稀に、どちらも優れている人がいる)。どちらが偉いとか価値があるかなどと罵り合うよりも、互いにセットであることを認識して、足りない部分を補い合うほうがよほど健全ではないだろうか。

何が言いたいかと言うと、仲良くやれよってこと。

 

 

関連記事

www.shoubaisekkei.co.jp