斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

「まだ日本で消耗しているの?」が来る日まで

「将来、海外に移住するわ」
とある一流企業に勤めている友人から出た言葉だ。彼は着実にキャリアアップの道を歩んでおり、時折、私と意見交換や雑話をする。

移住する理由は、「日本に将来がない」「いる意味がない」という考えからきている。私は別言して聞き返した。「つまり、日本という集団(国)に所属していても自分という個にメリットがないから、他の集団(国)に移る(移住)ってことだね」「そうそう。日本にいるメリットは大してないよ。てか、いるコストが高すぎる。海外でも生活・仕事できるスキルがあるなら、移住したほうが賢明だね」

この話を聞いて、私はNHK番組『NHKスペシャル “新富裕層”vs.国家~富をめぐる攻防~』を思い出した。

番組内容を要約するとこうだ。経済のグローバル化や金融の高度化により、若くして富を築いた「新富裕層」を自国に移住させようと積極的な国がある。代表的な国の一つがシンガポール。日本では株式等の売却益に20%の税金がかかるが、シンガポールでは非課税、所得税も法人税も低い。当然、新富裕層はシンガポールへ移住する。日本人も毎年1,000人近くが移住している。番組では、移住者を増やすことに積極的な国の政策や現状などを移住した人のインタビューを交えながら解説していた。

今はまだ、富裕層のみが移住に積極的だが、将来、年収が数千万、さらには1,000万円弱の人でも移住を検討する日が来るかもしれない。音声翻訳機の実用化や手続きの簡易化が進めば移住へのハードルは下がるだろうし、日本政府が増税を押し進めば、移住への意欲も高まる。

私が思うに、日本人は自国への愛国心は強いほうだ。私も日本の歴史や文化、四季は好きだし誇りに思う。しかし、どうにもこうにも政治が低劣。先進国屈指の税率にもかかわらず、まともに運用ができていない。にもかかわらず、未だ増税を考えている。足りないのは税ではなく脳みそだということにも気づいていない。

日本人は、礼儀正しく大人しい性格のため暴動などは起きないが、それに甘んじた政策ばかりしていれば、いつか国民から愛想を尽かされてしまう。現に、私の友人のようにすでに愛想を尽かした人も出てきている。

「パナマ文書」がまさに国への不満を顕現している。富裕層や大手企業が租税回避して、自国に税金を納めていない。日本人の名前や企業も載っているそうだ。これが事実なら、日本は膨大な税収を逃していることになる。こうした租税回避や移住の動きは、不満が残る限り続いていくだろう。

日本は、国民への対応、特に税政策を誤れば富裕層が逃げていくことを理解したほうがいい。また、国民は海外への移住も視野に入れておくといいだろう。

数年後、移住者の一人がブログに以下のようなタイトルを付ける日が来るだろう。
「まだ日本で消耗しているの?」

 

 

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