斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

目標達成の方法論を、自説と科学で説いてみた

年が明けて7日。年始に目標を立てた人も多いはず。
元々私は目標を立てない主義だが、今年は行動目標を立てて一年を過ごしてみることにした。とはいえ、私が立てた行動目標は、3ヶ月先までしかない。一年間の目標ではないのだ。

なぜ、一年間の目標にしなかったのか。それは、これから話す「目標視力」が関与している。

 

 

目標には「目標視力」がある

目標を達成するには、目標達成した状態がイメージできることが好ましい。そうでなければ、現実味がなく、やる気も湧きにくい。
イメージができるか否かを決める要素の一つに「時間」がある。遠い先の目標ほどイメージしにくく、近い先の目標ほどイメージしやすい。
私の場合、時間が遠く(長期)になり過ぎるイメージがおぼろげになり、やる気が湧いてこない。3ヶ月先ぐらいが丁度いい塩梅なのだ。

どれだけ遠くを見通せるかは、人によって異なるだろう。それを私は「目標視力」と勝手に命名し、遠くを見通せる人を「目標視力が良い」としている。

この理屈だと、私は視力が悪いほうだと言える。だから今まで目標を立てるのが嫌だったのだ。一年先の目標を立てても違和感があり、真面目に取り組む気もしなかった。目標視力が悪いことに気づき、時間を短くした途端、やる気が湧いてくるようになったのだ。
もし、私のように一年先の目標が立てられない、立ててもイメージが湧かないという人は、期間を短くしてみることをお勧めする。

 

 

自分を責めないのが続けるコツ

目標達成には、何かしらの「継続」が必要だ。
「毎日、○○を続ける」など、継続そのものを目標にする人も多い。

私も毎日続けている習慣がある。それは、「毎日ノートに書く」だ。
名文を書写したり、漢字練習したりと文章力向上に繋がることを、かれこれ5年以上続けている。
ただ、できない日もたまにはある。仕事が長くなったり、帰りが遅くなったりして時間に余裕がないときだ。そんなときは、いつもの半分にするか、全くしないようにしている。

ここで大切なことが、二つある。
一つ目は、無理にやらないこと。二つ目は、自分を責めないこと。

まず一つ目だが、無理にやるとかえってストレスが大きくなる。
行動分析学では、人が行動するには、嫌子を減らし、好子を増やすことが大切だと説かれている。無理に続けるのは、嫌子を増やしかねない。行動分析学の見地から言えば、続かないのは意志力の問題ではなく、嫌子と好子の比重の問題なのだ。好子が多ければ人は勝手に行動を続ける。嫌子が多ければ行動を止めてしまう。ただそれだけだ。
そのため、自ら嫌子を増やす行為はしないほうがいい。「今日するのは、きついな」と思ったなら、その日は無理にする必要はないのだ。

行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由 (集英社新書)

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二つ目だが、継続や目標達成できなくても自分を責めてはいけない。
継続や目標達成ができなくて、損をするのは自分自身だ。一歩進まなかったという事実が、適正な罰ではないだろうか。本来、その事実だけで十分のはずだ。
「自分には意志力がない」「自分は怠惰な奴だ」と自己否定する意味も必要もない。自己否定はかえって継続や目標達成を遠ざける。自己否定が続けば、人は目標自体を手放してラクになろうとする。目標を諦めてしまうのだ。それが一番もったいないのではないか。
目標は、自己成長するための手段。セルフイメージを下げてしまっては本末転倒である。

 

 

「最高を目指し、最悪を想定する」は、科学的に正しい

目標を達成するには、日常にある誘惑に勝たなくてはいけない。
ダイエットであれば、糖分の多いケーキや高カロリーなステーキなどを遠ざける必要がある。美味しい物は得てしてダイエットの天敵となる。

自己啓発書には、目標達成した自分をイメージすると良いなどと書かれているが、どうやらそれは間違いのようだ。マイナスイメージも想像・想定していなくてはいけない。

書籍『その科学が成功を決める』に、面白い実験結果が記されていた。

学生たちのグループに毎日数分間、だいじな中間テストでいい点をとった自分を思い描いてもらった。(中略)
成功した自分を思い描くのは、時間にして毎日わずか数分だったが、学生の行動にかなりの影響をあたえた。彼らはあまり勉強しなくなり、試験でいい点がとれなかった。言い換えると、成功をイメージする方法は目標達成の助けにならなかったのだ。

別の実験で、減量プログラムに参加する肥満体の女性グループを観察した。プログラムの中で女性たちは、さまざまな食事の場面を思い描くように頼まれた。友人の家で、おいしそうなピザが出された場面などだ。(中略)

女性たちを一年間追跡調査した結果、マイナスのイメージをもった女性のほうが、プラスのイメージをもった女性より平均11.8kg減量に成功していた。

 

別の章でも、似たような実験が紹介されている。

まず参加者は減量、新しい技術の習得、節酒など自分が達成したい目標について考える。つぎに目標を達成したときの自分をしばらく想像し、目標達成でえられる最高のメリットを二つ書き出す。続いて参加者は、目標達成を目指す過程で遭遇しそうな困難や障害についてしばらく想像し。最大の障害を二つ書き出す。(中略)

研究結果によれば、やる気を出すために理想をイメージする方法はたしかに役に立つ。ただし必要なのは、目標達成でえられるメリットと、途中に控えている現実的な困難の両方を視野に入れてバランスを整えること。つまり、二重思考である。

その科学が成功を決める (文春文庫)

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ただ馬鹿みたいに、プラスのイメージを思い描くだけでは不十分なのだ。最悪や困難も想定しておく、冷静な目も持っていなくてはいけない。プラスだけでも駄目、マイナスだけでも駄目。どちらかではなく、どちらの視点も目標達成には大切なのだ。

 

 

意外と効果的な「ご褒美」と「記録」

先ほど紹介した書籍には、目標の進捗状況をノートなどに記録して、可視化することもモチベーション維持に有効だ、とも記されていた。また、自分にご褒美をあげるのも有効だと記されていた。

この記述を読んで想起したのが、映画『メジャーリーグ2』だ。

メジャーリーグ2(字幕版)

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最下位チーム・インディアンスに石橋貴明演じる日本人選手タカ・タナカが入団し、チームは徐々に調子を取り戻していく。

チームのモチベーションを上げるためにとった施策がユニークだった。
一勝するたび、美女の等身大パネルの服(シール)を剥がしていき、目標の白星に達すれば、美女の露わな裸体が拝める、というもの。当時の私は11歳か12歳ぐらいだったが、ナイスアイディアだと感心したのを覚えている。

目標に進んでいる足跡を記録し、ご褒美を用意できるようになれば、行動分析学で言うところの好子が増え、目標達成が楽しくなる。

 

 

まとめ

目標達成の方法論を、自説と科学を交えながら解説してみた。
何かの参考になれば幸いである。

 

 

 

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