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斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

論理的思考法は、問題解決に不向きである

コンサルタントという仕事柄、私は人一倍、論理的思考法(ロジカルシンキング)を学んできた。そのうえで言えることは、論理的思考法は問題解決に不向きである、ということだ。

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「えっ、論理的思考法って、問題解決するために使うんでしょ」と、驚く人もいるだろう。世間一般的には、確かにそう認識されている。私も、論理的思考法が問題解決に全く役立たないとまでは言わない。まぁ、せめて、この世にある問題の2割程度は、論理的思考法だけで解決できるだろう。だが、残り8割は解決できない。もしできるのなら、世の中に、これだけ多くの問題は転がっていない。

論理的思考法は、問題解決というより原因の発見・分析・理解することに優れている。問題解決は、まず原因を把握することから始まるため、初期の段階では必ず必要になる思考法だ。だが、問題の原因が分かったからと言って、必ずしも解決できるわけではない。では、何が問題解決に必要なのか。それは、斬新な発想(アイディア)である。

この話をする前に、私が小学生の頃に受けた衝撃をお話ししたい。
当時私は、とあるTV番組を見ていた。番組では、アメリカのある州で問題となっているゴミのポイ捨てを見事解決したアイディアが紹介されていた。どんなアイディアかと言えば、ゴミ箱をバスケットゴールの形にしただけのこと。それだけで通行人の多くは、遊び半分でゴミを投げ(シュート)してゴミをゴミ箱に入れるようになったのだ。バスケットの国アメリカならではのアイディアだろう。私は、TV番組を見て強い衝撃を受けた。どうやったらこんな素晴らしいアイディアが出せるのだろう、と。ゴミ箱をバスケットゴールにしてゴミのポイ捨てを減らす。こんな発想が論理的思考法で出てくるだろうか。

昨年注目を浴びたアイディアがある。「アイス・バケツ・チャレンジ」だ。賛否あったものの、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の認知と寄付金に大きく貢献した。10年分の寄付金が1年で集まったようだ。


さて、ここであなたに問題を出そう。
論理的思考法を用いて、10年分の寄付金を1年で集めるアイディアを考えてほしい。では、どうぞ。



答えは出ただろうか。
正解を言おう。間違いなく、論理的思考法で10年分の寄付金を1年で集めるアイディアは出てこない。これが論理的思考法の限界なのだ。

冒頭でも話した通り、論理的思考法でこの世にある問題がすべて解決可能であれば、ほとんどの問題は解決されている。解決するのは、いつだってアイディアなのだ。もし、発想力(アイディア)が乏しい人が、問題解決をしようとすると、往々にして、罰則化や義務化を提案してくる。たとえば、ゴミのポイ捨てをしたら、罰金○○円だとか、○日はゴミ拾いをしなくてはいけないとか。主観的な意見を述べれば、罰則化や義務化という解決策は、この世で最も低劣な解決策だと考えている。もちろん、厳罰化しなくてはいけない問題もある。しかしながら、アイディアの力で解決できる問題までもを厳罰化する必要はない。厳罰や義務の増大は、発想力がないことの表われである。

 

 

真に頭のいい人とは

先日、ある女性から「深井君にとって、頭がいい人って、どういう人を言うの?」と訊ねられた。私は5秒ほど考えて「みんなが幸せになるアイディアが出せる人」と答えた。

ゴミ箱の形をバスケットゴールにするアイディア。罰金によるポイ捨ての厳罰化。どちらが皆を幸せにしつつ問題を解決するだろうか。明らかに前者である。厳罰化は、どんな馬鹿でも思い付き、かつ、誰も幸せにしない。同じ問題解決するなら、皆が幸せになるほうがいい。それができる人こそが、真に頭のいい人なのだ。

私にとって「皆が幸せになるかどうか」は、極めて重要な尺度となっている。たとえば、政治に関する反対意見の言葉尻を捉えて「はい論破w」などと罵る人は、頭が悪い。論理の力を人を貶めるために使うのは、頭の良い人がする行為ではない。これは、発想力を用いても同じことだ。

論理的思考力のある人が頭のいい人ではない。発想力のある人が頭のいい人ではない。頭の悪い人が論理的思考力を身につけても、論理的思考力のある頭の悪い人ができ上がるだけだ。頭の悪い人が発想力を身につけても、発想力のある頭の悪い人ができ上がるだけだ。

私が定義する「頭がいい人」は、「皆を幸せにしたい(思想)×アイディア(発想)」であり、思想が「貶めたい」「中傷したい」の人に、何を足してもかけても、頭のいい人にはならない。

 

 

頭のいい人になるために

序文は、論理的思考法は問題解決に不向きだと書いてきた。だが、決して論理的思考法を否定しているわけではない。私自身、日常的に最も使う思考は、論理的思考だ。万人が身に付けたほうがいい思考法だと思っている。しかし、それだけでは足りない。世の中には、数多くの思考法がある。これらと論理と掛け合わせれば、より一層視野が広がり、問題解決にも貢献するだろう。

だが、忘れてはならない。どの思考法も「力」でしかない。その力を何に活かすか、どのように使うかによって、頭の良し悪しが決まるのだ。

できることなら私は、この世にあるすべての思考法を学び、身につけたい。そして、みんなが幸せになるために使いたい。それができたなら、これ以上ない喜びだ。可能であれば、多くの人にもそんな考えを抱いてほしいと思っている。きっと、よりよい世界ができるのではないだろうか。

 

 

 

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