斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

好きなことを仕事にするよりも大切なこと

傍から見ると、私は好きなことを仕事にしている。
しかし、本当は順番が逆。“仕事にしていたら、好きになった”が正しい表現だ。

今私は、マーケティングコンサルタントをしている。
元々は、親父の会社を立て直そうと思い、死に物狂いで勉強していたら、マーケティングが得意になり好きになった。その後、会社を辞めてコンサル会社を立ち上げた。私は出版しているわけではないため、コンサル依頼は少ないと思い、ツールを作ったりして稼ごうと考えた。だったら、一定レベルの文章力が必要になると思い、文章力を鍛えた。すると今度は書くのが好きになった。

このように私の場合、好きを仕事にしているのではなく、仕事にしていたら好きになった、というパターンばかりだ。しかしこれは、好きなことを仕事にするよりも大切なのではないだろうか。
 
NHK番組『プロフェッショナル仕事の流儀』で寿司職人・小野二郎が言った言葉。

仕事というのは自分に合わせるんです。これが合う、これが合わないと言っていたら、合う仕事なんてありませんよ。

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これは至言だ。
何万とある仕事から、自分に合う仕事なんて探し出せない。本当は、出合った仕事に合わせて(好きになって)、合う仕事にする、と考えるほうが建設的であり、現実的だ。

結局、「好きなことを仕事にしたほうが幸せ」は、幸せを好きな仕事に依存させている状態。この考えだと、好きなことを仕事にできなければ不幸ってことになる。これだと、世の中の大多数は不幸な人になる。

世の中には、「好きなことを仕事にする」って本や話ばかりで、なぜ、仕事を好きになるための本や話はないのだろう。理由は知っている。多くの人は、耳に優しい言葉を聞きたいからだ。自分が駄目なのは好きな仕事じゃないからだ、と言い訳できるし、甘い夢も持てる。

好きなことを仕事にするのは簡単だ。今ある仕事を好きになればいい。目の前にある仕事に全力で取り組めば、“好き”が顔を出す。あなたが今「好き」だと思っていることも、何かに全力で取り組んだから“好き”になったのではないだろうか。

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