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斜め45度からの理説

どこにも転がっていない理論や方法論を語ります。

文章作成に必要な3つの思考法

理論・方法論

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人は文章を書く前に、必ず思考する。その意味において、文章は思考を投影したものと言えるだろう。優れた文章を書きたければ、思考力を鍛えるしかない。では、思考力を鍛えるにはどうしたらいいのか。一つに、優れた思考の型に倣うと良い。


今回、種々ある思考法の中から、とりわけ文章作成にそのまま使えるものを3つ紹介したい。

その3つは

・列挙型(法)
・展開型(法)
・多角型(法)

である。

では、一つずつ説明していこう。

 

 

1、列挙型

とりわけ目にする機会が多い文章の型の一つが列挙型だ。主張を唱え、理由(論拠)を挙げていく思考法である。主張を支える理由(論拠)に有効なのは、科学的見地や統計データなどの客観的な証拠だ。これらを3つほど用意できれば、説得力のある論になるだろう。

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列挙型の長所は、分かりやすい点である。構造がハッキリしているため文章に落とし込んだ際、読者もストレスなく理解できる。

列挙型の短所は、恣意的な論説に成りやすい点だ。たとえば、「夫婦別姓の是非」について論を挙げた場合、人は瞬間的に感情(好悪)で肯定・否定に分かれる。そして、それぞれ列挙型を用いて理由を見繕ってくる。肯定派は、「男女平等」や「世界の情勢」や「離婚後の不便さ」などを挙げるだろう。否定派は、「夫婦の絆」や「同性による社会制度の簡便さ」や「別姓により発生する諸問題」を挙げるだろう。どちらにも理はあるが、結論が先にあって理由を作っている点においてはどちらも同じである。人は理性によって論を立てているように見えて、実は感情で論を立てているのだ。参考になる書籍を一冊紹介しよう。『脳には妙なクセがある』(著者 池谷裕二)

偏見や独断におぼれることなく、明快な理論や分析にもとづいて、公平で合理的な判断ができることは、規範的行動の理想像と考えられています。しかし、そもそもヒトにそんなことが可能でしょうか?(中略)
ガルディ博士らは、本人が「まだ決めていない」と信じていても、その人の自動メンタル連合を測定すれば、すでにどちらに決めているかが当てられると言います。自動メンタル連合とは、物や言葉に対する反射のことです。 実験では、イタリアの小都市ヴィチェンツァで、アメリカ軍基地を拡張する政策に関する意見を、住民129人に聞いています。この政策に関しては、当時メディアでも賛否両論入り乱れていました。 実験とはこんな具合です。目の前のモニターにさまざまな映像や単語が現われます。そこで、映されたものが「良いもの」だったら左のボタンを、「悪いもの」だったら右のボタンを押してもらうのです。(中略)
実際に試験に参加していただくと実感できるのですが、左右のボタンの選択は意識的にコントロールできません。反射的です。ですから、その人の好悪傾向が否応なしに顕在化します。これが自動メンタル連合です。その人にとってアメリカ軍基地が是か非かのどちらかに無意識的に結合しているかを、うかがい知ることができるわけです。 そんな実験を行って、思考の連合癖を調べておけば、当人が「まだ賛否を決めかねている」と感じていても、最終的にどちらの支持に回るかを、事前に高確率で予想できることがわかりました。(中略)
本人は無自覚だけれども、無意識の世界ではすでに賛否を決定していると言えます。(中略)
ここで重要なことは、決断後に「どうしてアメリカ軍基地拡大に賛成したのですか」と訊くと、「現在のイタリアやアメリカの政況や外交を考えると……」などと、自信満々に理由を創作するということです。(p265-270)

脳には妙なクセがある (扶桑社新書)

脳には妙なクセがある (扶桑社新書)

 

 

このように、列挙型は結論ありきの思考法(文章作成)にはもってこいなのであり、事実そのように使われている。

列挙型の短所をもう一つ挙げれば、思考が浅い点である。一つのものを深く思考するというよりは、浅く思考したものをいくつか挙げていく感じである。とりあえず理由を3つ挙げるといった具合に。その本質や真意については深く考えない。この短所の逆を行くのが、次に説明する展開型である。

 

 

2、展開型

展開型は、一つのテーマを深く掘っていく思考法だ。一つのテーマ(前提)に基づき、「なぜ」「なぜ」「なぜ」、「どうなる」「どうなる」「どうなる」と深く思考していく。

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※上記の「問い」は一つの例。ほかにも、「ということは」「具体的には」などを問うてもよい。また、必ずしも同じ問いを続ける必要はない。「どうなる」の次に「なぜ」を問うてもよい。

 

展開型の特長は、テーマについて潜考していく点だ。先ほどと同じく「夫婦別姓の是非」をテーマに挙げた際、「もし別姓にしたらどうなる」「次はどうなる」「次はどうなる」「次はどうなる」と考えを巡らせていく。または、「名字とはそもそも何なのか」「そもそも夫婦とは何なのか」「何をもってして夫婦なのか」「夫婦である意義とは」「なんのために結婚するのか」と、そもそも論にも展開することさえある。

この例を見ても分かるように、展開型は列挙型とは比較にならないほどテーマを深く掘り下げていく。慣れないうちは、脳に疲労感を覚えるだろう。潜考する展開型は、一歩間違えれば哲学にもなりうるし、自分だけ納得できるが、表には出せないような結論に至る場合だってある。しかし、真の「思考力」とは、どこまで展開(潜考)できるかで決まると私は考えている。

潜考する思考力を鍛えるのに打ってつけなノート術がある。岡田 斗司夫氏が考案した『スマートノート術』だ。ノート術に関する書籍があるので一部引用しよう。

論理的に考える、というのは上下水平方向に物事を考えることです。 まず下方向に「なぜ?」と原因を掘り下げる。次に上方向に「ということは?」と推理を積み上げてみる。「どうする?」という解決策を考えてみる。左方向、すなわち時間軸を過去にさかのぼって、「昔はどうだったか?」を考える。右方向に「同じような事例はなかったか?」と類似や連想を広げる。最後に「私はいま、こう考える」という自分事として結論を出します。これを繰り返すことで論理力は充分に身につきます。(中略)
論理の長所は、すなわち欠点でもあります。 つまり「論理は誰でも納得できる答えを出せる」イコール「誰が考えても同じ結論になるから、つまらない」ということです。 論理を深めていくと、みんなが同じような結論になりやすい。 だからこそ、最後に自分の感情を入れると「私だけ」の理論になります。(中略)
考える、ということは「間違っててもかまわないから、自分なりの結論を持つ」ということです。(p107-114)


あなたを天才にするスマートノート

あなたを天才にするスマートノート

 

 

スマートノート術は、さらに発展したノートの取り方があるため、論理力だけではなく、発想力や表現力も鍛えられる。私が思うに、「頭を鍛える」の意味において、スマートノートは最強である。

 

 


3、多角型

一つのテーマを多方面の見地から見る思考法だ。一面だけで論じていては、視野狭窄に陥りやすい。広い知見から多角的にテーマを切ることも時には必要になる。

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多角型を説明するうえで、都合のよい書籍を見つけたので紹介したい。『人はなぜ不倫をするのか』(著者 亀岩 早苗)

人はなぜ不倫をするのか (SB新書)

人はなぜ不倫をするのか (SB新書)

 

 

この書籍は8つの専門家が各々の見地から不倫について見解を述べている。ジェンダー研究からは上野千鶴子氏、昆虫学からは丸山宗利氏、動物行動学からは竹内久美子氏、宗教学からは島田裕巳氏、心理学からは福島哲夫氏、性科学からは宋美玄氏、行動遺伝学からは山元大輔氏、脳科学からは池谷裕二氏。書籍の帯にはこう書かれている。「興味深かったのは学者の誰ひとり、不倫を否定しなかった」。好奇心が刺激される一文ではないか。

不倫について語らせれば、往々にして道徳観や民法に基づく見地から「……だから不倫はよくない」の結論で終わる。掃いて捨てるほどある何の面白みもない結論だ。このような、誰もが同じ結論に帰着しやすいテーマでも、多角的な視点を持つと他にはない在り様や答えが見えてくる。

多角型に考えるには、引き出しが多くなくてならない。引き出しが少なければ、情報収集する必要がある。一見大変そうだが、文章を書く(思考する)ということは本来そういうものである。

自分の論じ方が一面的で偏狭であれば、一度、ほかの視点でテーマを切ってみるといいだろう。多角的に見た結果、一つの結論が導き出されることもあれば、数多くの結論が導き出されることもある。はたまた、結論が出せないといったことも十分にありうる。知見を広げれば広げるほど、簡単に答えが出せる事物は少ない事実に気づくはずだ。

 

 

まとめ

持論が平易に書け、分かりやすく伝えられるのが列挙型。テーマを深く掘り下げて考えるのが展開型。テーマを広い知見なら考察するのが多角型。この3つが、文章作成における基本となる思考法だと私は考えている。文章を作成する際は、この3つの型を思い浮かべてほしい。

 

 

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